Share!! Human Energy for“HOPE” プロジェクト

岩室で始まった新プロジェクト「SHE」

Share!! Human Energy for“HOPE”
岩室で始まった新プロジェクト「SHE」の活動紹介

当該協議会と日産自動車、新潟国際情報大学、岩室温泉との連携により、新時代の地域形成に関する新しい試みを実施することになりました。2019年3月31日にその事業内容に関する記者会見を開催いたしました。

このたび結成される「新潟にしかん地域循環共生圏協議会」は、岩室地域を舞台とし、観光、環境、アート・カルチャー、教育の各分野の活動を融合し、地域循環共生圏の実現(ローカルSDGsによる新たな地域課題解決型の事業化)の実現を目指します。今回ご紹介申し上げるのは、教育と地域を連携する電気自動車を活用した地域SDGsトライアル事業です。これを契機に、停滞した地域経済の活性化と、地域と連携した新しい大学と地域による教育の実現を図ります。
具体的には、大学生が岩室温泉地域に入らせていただき、観光や地域づくりへ参画し地域課題に対し共に改善解決を図る活動をおこないます。
また、日産自動車株式会社様が添加される「ブルースイッチ」事業とコラボし、岩室温泉街らなびに岩室温泉地域を中心に、地域と地球に配慮した環境配慮型の観光と生活の新しいあり方を模索します。

この活動は、岩室温泉地域をひとつの「点」として始まりますが、合併前から続く地域でのつながりや市民・事業者の営みを大切にしたいという強い意志も込めております。発足しました協議会名にもその意思を込め、「にしかん」と命名いたしました。旧西蒲原郡や近隣市町村との連携も今後強め、点から面での活動に広げて参ります。

「にしかん地域」を愛する多くの皆さまと出会い活動できますことを楽しみにしております。
2020年10月末に、岩室観光施設いわむろやの駐車場に、電気自動車(EV)日産リーフを導入しカーシェアリング事業を開始しました。
静かで快適な乗り心地のEVに乗って、岩室温泉街、新潟にしかんの自然や食、歴史・文化を堪能してみてください。

<岩室温泉EVの予約・詳細はこちら>

日産eシェアモビについて
産学連携観光開発スキーム

豊かな自然や農業、温泉があり、多様なプロジェクトが生まれる岩室エリア

新潟駅から車で40分ほどにある新潟市西蒲区岩室温泉。
豊かな自然に恵まれた岩室は、春には草木が鮮やかな角田山や多宝山、夏前には川辺で舞うホタル、秋には一面に広がる黄金色の稲穂、冬には山々に降り注ぐ雪景色など、季節によって異なる表情を見せてくれます。
さらに、岩室はお米を中心に枝豆やシイタケなど多種多様な農作物の一大産地でもあります。
また、開湯300年超を誇る岩室温泉は、国内外から観光客が訪れる新潟県有数の温泉地です。
 そんな豊かな自然や農業、温泉が揃う岩室では、音楽やアート、福祉など多様なプロジェクトが生まれています。

わらアート  いわむロック  祭

外から人を受け入れ、挑戦を後押しする風土を持つ岩室

岩室は昔から温泉旅館に作家を泊めたり、一度引き取ると一生面倒を見る芸妓の文化があったりと、外からの人を受け入れてきた地域です。その上、若い世代のチャレンジに寛容な地域でもあります。私が岩室に帰ってきたとき、岩室温泉旅館組合の上の世代は「とにかく自由に、やれ」と背中を押してくれる存在でした。
そのときに始めたのが、武蔵野美術大学とのプロジェクト「アートサイト岩室温泉」。大学生の中には今のいわむろや事務局長・小倉くんの姿もありました。
2010年にいわむろやを設立すると、音楽や福祉など従来とは異なる多方面のイベントを実施。次第に地域内外の若者が手伝うようになり、今の岩室ができあがったのです。
 しかし、まだまだ課題も多い岩室地域。今後はこうした若者と地域住民が世代を問わず協力してチャレンジを重ねていければと思っています。

株式会社ゆもとや 代表取締役 髙島勝郎

株式会社ゆもとや
代表取締役
髙島勝郎

Share!! Human Energy for“HOPE” SHE

外から若者を受け入れる風土を持つ岩室で、地域の課題を岩室内外問わず、若者と一緒に解決の道を探りたいと、2018年に立ち上がったのが、「Share!! Human Energy for“HOPE”」、略して「SHE」です。
すでに岩室にある観光や農業、自然環境など様々な活動を繋げ、各々の持つ知識や経験をシェアすることで、地域に住む皆さんが暮らしやすい新しい未来を目指します。

目指す未来のイメージ  岩室にある既存の活動を繋ぎ合わせる

地域の人と、ソトモノ・若者が一緒に岩室の未来を考えたい!

SHEプロジェクトの設立背景や活動内容、今後の展望について
立ち上げメンバー3人と、ゆもとや主人の髙島さんを交えてお話をお聞きしました。

メンバー

左から、NPO法人いわむろや 事務局長 小倉壮平、株式会社ゆもとや 代表取締役 髙島勝郎、(一社)おらってにいがた市民エネルギー協議会 事務局 木村義彦、NIIGATA MUSIC LABORATORY 代表 平田英治

それぞれの岩室との接点

ー 3人が岩室に関わるようになったきっかけを教えてください。

木村 おらっては市民の手でエネルギーをつくることをきっかけに、次世代の新しい社会のあり方を模索しています。その中で、ただ単に発電をするだけではダメで、電力だけでなく「新しいライフスタイル」をどう生み出していくのかが重要だと思っていました。各地で市民による太陽光発電所を立ち上げている中で、岩室地域では地元の人だけでなく、外の人や学生が地域に関わりながら活動する様子を見て、すごい地域だなと思いました。また、自然環境や温泉という地域資源があることも、これからの地球環境を考える上で素晴らしいフィールドだと感じました。それで、2017年頃から岩室と密に関わるようになりました。

平田 僕は、大学生が主催するホタルフェスでステージに関わったのが最初です。岩室の風景が祖父の家(山梨県)の周辺と似ていて勝手に親近感を持っていました。そんなときに小倉さんから「いわむロックFESTIVALの運営を手伝ってほしい」と声をかけてもらったんです。兼ねてから、野外フェスのプロデュースはチャレンジしたいと思っていたので単純に嬉しかったですね。そこからもう5年関わり続けてきました。

ー そして、小倉さんは武蔵野美術大学の学生時代にアートがきっかけで岩室に。

小倉 はるか昔ですけどね(笑)いま考えると、ソトから来た若い人のチャレンジを後押ししてくれる風土が岩室にはあるんだと思います。

若者が挑戦できる場作りと、地域の中間支援を目指して

ー そんな3人がSHEプロジェクトを始めた理由を教えてください。

木村 2018年に、環境省が地域の環境課題と社会課題を同時に解決するプロジェクトの助成事業を募集しているのをみて、手を上げたいと2人に相談したんです。

平田 3人で「どういう岩室にしたいか」について話したのですが、共通していたのが「若手がチャレンジできる場をつくっていきたい」ということでした。岩室は自分のようにソトから来た若者を受け入れてくれる土壌がある。それをもっと育てていきたいということでした。

小倉 いま、岩室ではさまざまなプロジェクトが沸き起こっていますが、それをサポートする立場というのも必要です。今まではいわむろやが事務局機能などを担ってきたのですが、その機能が拡張できると良いなと思っていました。

木村 それで、活動分野や地域を越えて人と人をつないでいくことで、岩室の未来を自分たちでつくっていけるような活動をしていきたいと思い、SHEを立ち上げました。

ー これまでにどんな取り組みをしてきましたか?

木村 あんまり目立ったことはしていないのですが…(苦笑)まずやったのは岩室で行われているプロジェクトをとにかく手伝うこと。補助金の申請や事務仕事、岩室への視察受け入れなど、地域活動の中間支援が多かったです。

小倉 あとは、映画の上映イベントや、地域づくりの勉強会を開催したり、農家さんと村上のバイオマス発電を視察に行ったりもしたよね。

平田 それから、世代やジャンルを越えて、地域内外の人が顔を合わせられるように忘年会や新年会などの交流イベントも開催しました。

髙島 地域側から見えにくい活動だから、まだ「SHEってなにやってんだ?」という住民や「そもそもSHEを知らない」って住民が多いとは思う。けど、地道に続けていくことで、地域からも頼られる存在になっていってほしいな。

木村 そうですね。少しずつですが、地域の人から声をかけてくれることも増えてきたので、一緒にプロジェクトを動かしていきたいです。

地域内外の人から誇りに思ってもらえる岩室に

ー SHEは今後どんなことに取り組むのでしょうか?

木村 新たに地元の大学と岩室温泉観光協会、岩室温泉旅館組合と協力して、岩室の未来について話し合う対話の場を設けます。その中で、関係者や学生、若い人から何かやりたいという声が生まれた際に、それを実現できるような体制をつくっていきたいと思っています。

小倉 とは言え、いきなり事業を始めようというのではなく、まずはチームをつくることが目的。SHEだけでなく、岩室の地域の人、教育機関など多様な人が集まることで、長期的に見て、新しい動きが生まれることに結びつけば嬉しいです。

平田 それに限らず、地域外から若い人が「やりたいことを実現する場なら岩室で」と、チャレンジの場として岩室を捉えてほしいと思います。「フォローはするから安心して挑戦してね」と言えるようになりたいですね。

髙島 地元が期待するのは、「地域の若者をどんどん巻き込んでほしい」ということ。旅館業では、社員が新しく入っても辞めてしまうという課題もある。働く理由だけでなく、岩室で暮らす楽しさを見つけてもらいたいよね。昔は消防団の集まりとかで引っ張り出されて、地域とのつながりができたものだけど、最近はなくなってきた。だから、つながりをつくるのに、好きなジャンルのイベントをきっかけにして欲しい。例えば、音楽好きなら音楽のイベントに関わって、つながりを広げていってくれれば良いなと思う。

小倉 岩室の子ども達も同じで、「地元がつまらない」じゃなくて、「大人がおもしろいことたくさんやっているじゃん!」と感じてくれたら嬉しいですね。

木村 私たちが岩室で活動できるのも地域の皆さんが、新たな取り組みや若手の挑戦を応援する風土を築いてくれたから。岩室の人と触れ合う中で、改めてこの歴史の延長線上に立たせていただいていることを実感しました。この気持ちを胸に、皆さんと一緒に岩室がより暮らしやすい場所になるよう、知恵を絞っていきたいと思っています。 

(取材場所:ゆもとやロビーにて)